微かな記憶

お彼岸の日は自分の誕生日だ。

その日になるといつも思い出す。彼らのことを

それは淡い記憶のような感覚だ。

彼らは遠くに逝ってしまった

 

私には母がいない、父と祖母と兄弟3人の五人家族だ

母は小学校の時、事故で他界した。父は母が死んだ時涙一つ見せず、私を抱きしめてくれたことを覚えている

そんな母親替わりをしてくれた書道の先生は昨年他界した。とてもいい先生だった

 

遠い遠い昔、もういつだったか覚えてすらもないが、私は大切な存在を失った。今となっては、顔も名前すらも思い出せない。とても大切だった人は私の前から消えてしまった。解離性健忘がそれを封じ込めてくれているのだと、勝手に思ってる。私に辛い思いをさせないように。代わりになってくれているのだと思ってる

 

彼岸花を見ては思い出す、彼らのこと

だけどもう大丈夫だって思う。大丈夫だと、なにも心配することはないと、そんな言葉が背中を押してくれている。

彼らは消えたわけじゃない、私のずっと側で見守ってくれていると信じてる